カメラ



2009年7月3日更新

日本人の良くないところは、確たる自分の意見を持たず、権威に流されるところでしょうか?

いつぞや、カメラの事を熱く語っている掲示板で、ある人がプロカメラマンが使うカメラは、ニコンとキャノンしかないと書いていました。

なるほど、オリンパスやペンタックス、今は無きミノルタ(コニカミノルタ)等を使うのはプロじゃないんだ…。
じゃあ、ライカやコンタックスを使うのは邪道なのか?
中盤のハッセルブラッドやローライやマミヤを使っている人はプロじゃないでしょうか?





僕は初めて自分のカメラを買う時に、ひと通り全てのメーカーのカタログを集め、比較検討してみました。

(金が無くって暇だったからですが、今じゃ考えられないほど、熱心でしたね…。)

当時、日本はAEカメラの技術、生産量ともに世界一であり、「カメラと言えばドイツ」と言われていた時代は、はるか昔の話になりつつある時期でした。




カメラメーカーも百花繚乱。

人気の35mm一眼レフカメラでは、国産のニコン、キャノン、ミノルタ、オリンパス、アサヒペンタックス、コニカ、フジカ、マミヤ、リコー、コンタックス/ヤシカ、トプコンなどが覇を競い、かって世界に覇を唱えた純ドイツ製は、ライカ、ローライなどが細々と存在している状況でした。

中でも、ニコン、キャノン、ミノルタ、アサヒペンタックス、オリンパスは5強と呼ばれ、プロ用カメラから、入門機まで数機種の一眼レフカメラをラインアップしていました。

他のメーカーは製品を出してはいるものの、カメラ店でカタログの入手も難しいほどで、多くはその後淘汰されて行きました。

実際、5強メーカーの場合、純正レンズも30本以上のラインアップを誇りましたが、他のメーカーはそこまでの選択肢はありませんでした。


故に貧乏人の僕としては、国産のこの5強のカメラメーカーの一眼レフカメラの中から気に入った一台を選択すると言う事になります。

ところが、システムカメラの醍醐味とも言える、交換レンズを手に入れて、撮影の幅を広げようと思うと、カメラメーカー毎にレンズマウントが異なる為に、カメラのメーカーを決めると必然的に使えるレンズまでも決まってしまうのです。

その昔、レンジファインダーカメラの代名詞であるライカが、マウントまで含めてコピーされ、他社製のレンズももれなくライカ及びそのコピーカメラでも使えた事を考えると、メーカー本位の囲い込み戦略によりユーザーが不利益を被ると言う時代になっていました。

35mm版一眼レフカメラになっても、当初はエキザクタが推奨したスクリューマウントを採用した数社のカメラでレンズが共用出来たものの、その後バヨネットマウントが主流になると、アサヒペンタックスとリコーが共通のKマウントを使用した以外は各社独自のマウントを採用したせいで、カメラを決めるとレンズも必然的に決まってしまうのです。
ニコンのカメラにニコンのレンズを付けると言うのは、今じゃ当たり前の様な話ですが、昔は、ニコンのカメラにエルンスト・ライツ社のズミクロンレンズを付けて撮影が出来た物が、そうは出来なくなったのです。

確かに、カメラが発展する過程において各種の信号や、情報をカメラとレンズとの間に伝達していく機構が必要になって行ったのは解るのですが、その間一度としてカメラメーカー間で話し合いが持たれた様子はなく、結局のところユーザー不在の囲い込みだったとしか言えません。


そんな中、高校生でカメラが欲しくてたまらない年頃であった僕はカタログを集めては研究の日々。

その時、第一に検討の基準にしたのは、レンズの良し悪しでした。

カタログのデータだけを頼りにすれば、交換レンズ本数が60本を越えるニコンや、50本を越えるキャノンは確かに魅力的です。
しかし、プロ仕様と銘打ってやたら高価な屈折系望遠レンズばかりが目立つバリエーション展開な様に思えました。
将来、プロになったら必要か?
確かにプロカメラマンにでもなれば必要かもしれません。
でも、そんな高価で重量の重いレンズが果たして必要なものなのか?

報道系プロカメラマンの間でニコンとキャノンが幅を利かせていたのは屈折系望遠レンズにバリエーションが多く、こうしたレンズを必要とした彼等報道カメラマンには必需品だったからです。

しかし彼等だけがプロカメラマンではありません。


女性写真で著名な篠山紀信氏はプロカメラマンじゃないのか?
『オーパ!』で一世を風靡した高橋f氏はプロカメラマンじゃないのか?
馬鹿げた論理です。

所詮、ニコンとキャノンしかカメラとして認めないなどといっている人は、ただの原理主義者だと思います。





自分に見合ったカメラを探した際、僕の場合、カラー写真を多く撮るであろう。
そうなるとカラー再現性の良いレンズが必要になる。
カタログの写真をとっかえひっかえしつつ見て、とりわけ色合いが気に入ったのが、ミノルタのカタログでした。

不思議なものでカメラメーカーのカタログを繰り返し見ているとそのメーカーのレンズの色合いや、色再現性の差がぼんやりながらも見えてくるものです。
(印刷と印画紙とではやはり異なるものですが、傾向について何とか判ると言うくらいにご理解ください。)

ニコンのニッコールレンズはシャープネス、コントラストに素晴らしいものがあり、モノクロ撮影や記録写真の撮影に向いていると思いました。
しかし、赤の再現性が自分好みではなく、発色の具合によってはどこか蛍光レッドの様に色飛びして、どぎつい色合いになっている気がしました。
その為、自分の撮影する目的からは縁遠いレンズだと感じました。

キャノンレンズは、シャープネス、コントラスト共に良くて、カラー再現性も比較的穏やかだと思いました。
ただ青系統の色合いが薄めで全体にライトブルー系の淡い感じがします。
これはこれで好みには近いのですが…。

ペンタックスのSMCペンタックス/タクマーレンズ。
カラー再現性、シャープネス共にこれと言った厭な癖は無いのですが、逆に惹かれるものが僕にはありませんでした。

オリンパス・ズイコーレンズ。アンバー系の厭な濁りがあり、その結果どうしても好きになれない色合いでした。

ミノルタ・ロッコールレンズ。
シャープネス、コントラストはそこそこ
(まあ標準以上)。
とにかく色が良いと感じました。
緑の色合いが良くて、赤系の色が抜群。
不安点としてはコントラストの緩さ・・・。
何より、バリソフトレンズや、世界最短の反射望遠レンズなど、特殊仕様のレンズがラインアップに多い事も気に入りました。

そして別格。
カールツァイスレンズ。
当時コンタックスの名の元にヤシカから発売されていました。
コントラスト、シャープネス、色再現性も抜群でさすがは世界最高峰のレンズと言われるだけの事はあると感心しました。
しかし、予算的に絶対届かない世界でした。


次にカメラの選択です。

レンズの能力を最大限に生かすプラットフォームとして、ここは慎重に吟味しました。

条件としては、まず堅牢で故障が少ない事。
その点、ニコン、キャノン、ミノルタは合格でしょう。
残念ながら、当時ペンタックス、オリンパス、コンタックスあたりは故障が多いとの評判がありました。
(あくまで、当時僕の周辺で聞いたウワサですけれども・・・。)

次に露出設定が簡単な自動露出(AE)搭載である事。
ポートレート撮影、スナップ撮影がしたかった僕にとっては速写性が重要な条件でした。
そうなると、マニュアル露出は駄目となります。
当時、絞り優先AEが良いのか、シャッター速度優先AEが良いのかと言う、これまたカメラの製造技術が追いつかない為に戦わされた、今から見ればバカバカしい論議ではあるのですが、素人ゆえにどちらが良いのか判らず、結局両方付いたキャノンA-1かミノルタXDからの選択と言う事になりました。
(僕が買った時には、ニコンFAも、ペンタックス・スーパーAもまだ発売にはなっていませんでした・・・。もし出ていれば、結果は違っていたかも知れません・・・)

結局、カラー写真の色合い、そして他のメーカーには無い特殊なレンズがあると言う事、それに憧れのライカと提携していると言う事から、ミノルタになった訳です。

そんなこんなで、実は多少のコンプレックスもあり、ニコン、キャノンのユーザーには肩身の狭い思いをさせられてきました。

しかし、本当のところはどうでしょう。

ニコン、キャノンを持っている写真家ばかりが素晴らしい写真を撮っているのか?

僕は大いに疑問を感じます。

そんな中、カメラを手にして間もない頃、開口健著の『オーパ!』を見た時に、僕は衝撃を感じました。

手にしたのは文庫本ながら、撮影された写真の色の豊かさ、奥深さに心底感動したのです。

聞けば、撮影したカメラマン高橋fさんは篠山紀信氏のお弟子さんにあたる人との事。
それだけで、カメラは間違いなくミノルタ製だと確信しました。

それほど高橋f氏はミノルタのレンズの魅力を確実に引き出していました。


僕はニコンやキャノンではろくな写真が撮れないと言っているのではありません。
これ等二大メーカーはたゆまない努力で素晴らしいカメラを世に提供していますし、事実これ等のカメラで素晴らしい写真を撮影しているカメラマンが数多くいるのも知っています。
ただ、ひいきの引き倒しで、これ以外にカメラメーカーは無いなどと言う輩がいる事が悲しい現実なのです。

 

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